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CT202679M マゼンタ 純正新品2本セット(富士ゼロックス)(DocuPrint CP310dw) トナー

CT202679M マゼンタ 純正新品2本セット(富士ゼロックス)(DocuPrint CP310dw) トナー

国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 研修指導部長

堀越 勝(ほりこし まさる) 訳

国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 研修指導部 研修普及室長

伊藤 正哉(いとう まさや) 訳

ボストン大学心理学・精神医学教授 不安関連障害センター名誉所長

デイビッド H. バーロウ、ほか 原著

初版 A5判 並製 184頁 

【純正品】 EPSON エプソン トナーカートリッジ 【LPC4T8YV Y イエロー】


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定価:3,024円(本体価格2,800円+税)

不安障害やうつ病等の各疾患へのいろいろな認知行動療法を,最も効果のあるかたちで統一したプロトコルを紹介.各疾患に共通する「感情の取り扱いかたがうまくいかなくなっている」という点に注目.このプロトコルを,複数の疾患に適用できる「診断を越えた」治療とよぶ.“第Ⅰ部治療者のための基本情報”“第II部治療モジュール”から構成され,第II部では実際の治療で利用する『ワークブック』を解説する.

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目次

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推薦の辞
原著者日本版序文―Treatments That WorkTMについて
原著における謝辞
付録① 略語一覧
付録② 〔用紙〕一覧 


第Ⅰ部 治療者のための基本情報 
 第1章 治療者への基礎情報
  ①感情障害への統一的で診断を越えた治療 ②統一プロトコルの有効性 
  ③UPプログラムが有効な対象  ④他の感情的問題が認められる場合
  ⑤アセスメントとモニタリング  ⑥薬物療法
  ⑦誰がプログラムを実施すべきか  ⑧『ワークブック』を用いる利点
  ⑨『ワークブック』を分けて渡すか,1冊すべてを渡すか
  ⑩『ワークブック』の購入費 
 第2章 感情障害の本質
  ①病因論
  ②感情調整の役割
 第3章 基本原則と治療手続きの全体像
  ①治療手続きの基本原則  ②治療モジュールの説明  
  ③各モジュールの概要 ④治療手続きの概要 
 第4章 治療の構成と進め方  
  ①治療に導入する  ②治療者の役割 
  ③セッションの構造 ④宿題とセッション外の練習 
  ⑤宿題のふりかえり ⑥患者の関与度 
  ⑦患者の両価性や抵抗に対処する ⑧患者が示す訴えをふりかえる 

第ⅠⅠ部 治療モジュール 
 第5章 モジュール1:治療への動機づけを高める
  ①動機づけ ②動機づけを高めるための原則  
  ③動機づけを高める各段階 ④まとめ  
  ⑤事例  ⑥問題に対処する 
 第6章 モジュール2:感情を理解する 
  ①心理教育―感情の本質 ②感情の定義とEDBsの例 
  ③感情体験の三要素モデル  ④事例 ⑤問題に対処する 
 第7章 モジュール2:感情反応に気づき,ふりかえる
  ①宿題のふりかえり  ②感情体験のモニタリング―感情のARC―を導入する  
  ③感情と行動を理解する:学習された行動  ④事例  
  ⑤問題に対処する 
 第8章 モジュール3:感情への気づき訓練―体験観察を学ぶ 
  ①宿題のふりかえり  ②非断定的な,現在焦点の感情への気づきの導入  ③非断定的な現在焦点の気づきのデモンストレーション  ④事例  
  ⑤問題に対処する 
 第9章 モジュール4:認知評価と再評価  
  ①宿題のふりかえり  ②認知評価の紹介   
  ③認知評価のデモンストレーション:あいまいな絵のエクササイズ  
  ④自動評価とよくある思考の落し穴  ⑤認知再評価 
  ⑥事例  ⑦問題に対処する 
 第10章 モジュール5:感情回避 
  ①宿題のふりかえり   ②感情回避の紹介   
  ③感情回避のデモンストレーション   ④曝露への準備を整える     ⑤事例    ⑥問題に対処する 
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  ①宿題のふりかえり   ②EDBsを改めて紹介する 
  ③回避とEDBsのパターンとは逆の行動をとる ④事例 
  ⑤問題に対処する  
 第12章 モジュール6:身体感覚への気づきと忍耐力 
  ①宿題のふりかえり  ②身体感覚と感情反応 
  ③身体感覚の回避  ④症状誘発エクササイズ  
  ⑤曝露を繰り返す  ⑥事例  ⑦問題に対処する 
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  ①宿題のふりかえり ②感情曝露  ③セッション内での感情曝露の導入
  ④セッション内で感情曝露を実施する 
  ⑤感情曝露を実生活に移す ⑥事例 ⑦問題に対処する 
 第14章 不安,抑うつ,関連する感情障害への薬物療法 
  ①投薬に関する問題についての紹介 ②事例  
  ③問題に対処する 
 第15章 モジュール8:達成,維持,再発予防  
  ①宿題のふりかえり ②治療スキルのふりかえり 
  ③進歩を評価する ④将来の困難を予想する 
  ⑤練習を続ける ⑥長期目標を設定する    ⑦治療を終える      ⑧事例  ⑨問題に対処する 
参考文献  
索引  

原著者一覧 
訳者あとがき 
翻訳協力者一覧 
訳者紹介 

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推薦の辞

 本書は,認知行動療法のエッセンスを実践的な視点からまとめた“Unified Protocol for Transdiagnostic Treatment of Emotional Disorders:Therapist Guide”の日本語訳である。本書の特徴は,個々の精神疾患ごとに分けて紹介されてきた認知行動療法のアプローチを,臨床現場で使いやすいように統合して紹介している点にある。
 認知療法・認知行動療法は,わが国では,平成22年春からうつ病を対象にしたものが診療報酬の対象になった。これまで薬物療法中心だったわが国の精神科医療で,このような精神療法が診療報酬の対象になったというのは,驚くべき変化である。それが実現されたのも,欧米はもとより,わが国でもその効果を示す研究の成果が報告されるようになったからである。
 本書のテーマである「診断を越えた統一治療」アプローチは,そうした科学的な視点から積み重ねられてきた認知行動療法の効果に関する多くの研究の成果のエッセンスを,現場の臨床実践に活かす指針を提供しているという点で,画期的なものである。その一つひとつのアプローチが,モジュールとしてまとめられている。
 これまで,うつ病であったり,パニック障害であったり,社交不安障害であったりと,精神疾患ごとの認知行動療法技法は多く紹介されてきている。しかし,臨床現場では,単一の明確な精神疾患に悩んでいる人よりも,併存する複数の精神疾患に苦しんでいる人や,単一の精神疾患の診断基準を満たさない「特定不能」の精神症状群に苦しんでいる人に出会うことのほうがずっと多い。
 そのように苦しみながら今を生きているひとりの人間としての患者やクライエントを手助けするには,単一の疾患を対象として開発されたマニュアルだけでは不十分である。本書で取り上げられている「診断を越えた統一治療」アプローチは,そうした複雑な精神症状や生活環境を生きている人を手助けするのに最適であり,真の臨床家であるために絶対的に身につけておくべきものであると,私は考えている。
2012年3月
 大野 裕
 国立精神・神経医療研究センター
 認知行動療法センター センター長


原著者日本版序文
―Treatments ThatWork【純正品】 EPSON エプソン インクカートリッジ 【PJIC5Y イエロー】について

 ここ数年,ヘルスケアの分野では目覚ましい発展が起こっている。精神保健や行動医学において広く受け入れられてきた介入法の多くが,研究の蓄積によって疑問視されるようになり,効果がないばかりか,有害な場合もあることが示唆されてきた(Barlow, 2010)。その一方で,現在とられている最高水準の科学的基準によって効果が実証された介入法は,一般の人々に提供されるべきものとして幅広い支持を勝ち取ってきた(McHugh & Barlow, 2010)。最近では,いくつかの点でこれにとどまらない発展がみられる。第一に,心理的にも身体的にも病理についての理解が深まり,それによって,正確に標的を絞った新しい介入が開発されるようになった。第二に,これまでは内的・外的妥当性の不十分な研究が多かったが,研究手法が実質的に改善したことによって,研究成果を実地の臨床に適用しやすくなった。第三に,世界中の政府,ヘルスケアシステム,政策立案者が,ケアの質を改善してエビデンスに基づいたものにすべきだと考えるようになり,その実現をたしかなものにしようと一般の関心が高まった(Barlow, 2004;Institute of Medicine, 2001, Mchugh & Barlow, 2010)。米国や英国と並び,エビデンスに基づく精神疾患への最新の心理的介入を普及するうえで,日本は第一線に立っている。
 臨床家にとっての困難は,新しく開発された,エビデンスに基づいた心理的介入法を入手し修得する難しさにある。これまでは,最新の精神保健や行動医学を実践し個々の患者に適用しようとする,責任感のある良心的な実践家に対してしか,ワークショップや書籍がゆきわたることはなかった。このシリーズ,Treatments ThatWorkTMは,実践の最前線に立つ臨床家に最新の介入法をお届けするために企画されたものである。
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 現在発展しつつあるヘルスケアにおいて,徐々にコンセンサスになりつつあることは,エビデンスに基づいた実践が,精神健康の専門家たちに最も責任ある行動指針を与えるということである。精神保健と行動医学におけるすべての臨床家は,患者に対して可能な限り最良のケアを提供したいと望んでいる。最先端の研究と臨床評価を踏まえたエビデンスに基づく治療プログラムの最も新しい発展として,共通の特徴をもち,共通の治療手続きに反応する一群の障害に対する統一の,診断を越えた介入があげられる。心理的障害の本質についての理解が深まったことによって,病因論において共通性が認められること,多くの障害間に共通の潜在構造がありそれは各障害の相違を凌駕するものであること,そして,ある一群の障害には非常に類似した行動的問題と脳機能が認められることがわかってきた。実際,ひとつの障害や問題を持つ人は,他の問題や併存疾患を持つのがふつうであり,それらは同じ障害群に含まれていることが多い。これらの障害や問題を関連し合うものとして見なしたり,「スペクトラム」ととらえる見解は,現在,主導的な研究者や臨床家,そして2013年に改訂予定の新版の診断の手引きであるDSM-Vの作業部会がとっている立場である。こうした一群に対する治療は“統一unified”のものである。なぜなら,それらは感情障害,摂食障害,依存症といった一群の障害のまとまりに対して有効な,共通の,統一の治療手続きであるからである。また,この治療は“診断を越えたtransdiagnostic”ものでもある。なぜなら,(感情障害,摂食障害,依存症といった)同じまとまりに含まれる障害群のすべてに対して効果的であるように設計されているからである。多くの人はひとつの障害だけではなく,同じ一群に含まれるいくつかの障害を抱えている。それに対して,ひとつのセットになった治療諸原則に取り組むことは,治療者にとってより容易で効率的であり,これによって複数の関連した問題に対して包括的かつ効果的に取り組めるようになる。
 本書は感情障害emotional disordersに対応している。一般的には,感情障害にはすべての不安障害と気分(うつ病性)障害が含まれる。たとえば,広場恐怖を伴うあるいは伴わないパニック障害,社交不安障害,全般性不安障害,心的外傷後ストレス障害,強迫性障害,抑うつがあげられる。このプログラムはまた,感情障害に密接に関連している心気症や,健康についての過剰な不安に関連した問題,解離(非現実感)を伴う問題にも取り組めるようになっている。最近の研究によれば,これらの障害すべてに共通しているのは,過剰で不適切な感情反応が,感情のコントロール不能感とともに起こる点であるとされる。
 感情障害に対する診断を越えた治療のための統一プロトコル(Unified Protocol of Transdiagnostic Treatments for Emotional Disorders;UPユーピー)の開発は,実証的に支持された伝統的な認知行動的治療(cognitive behavioral treatments;CBT;例:Barlow & Craske, 2006)の鍵となる原則をあぶり出し,これらを感情調整とその不全についての研究の進展(例:Fairholme, Baissau, Ellard, Ehrenreich, & Barlow, 2010)へと統合させるところからはじまった。UPは伝統的なCBTの基本原則を重視している。たとえば,感情障害に対して,消去学習,認知・行動回避方略の妨害,行動・感情・内部感覚の曝露,不適応的認知の同定と修正を適用している。
 特定の恐怖症が,もし他の感情障害を伴っていない単一の問題である場合には,一般的にいってこの治療は推奨されない。このシリーズの他の書籍がより効率的にその問題を扱うことができるだろう(Craske, Anthony, & Barlow, 2006を参照のこと)。
 必要とする人にエビデンスに基づく心理的治療の提供において,日本はアジア各国のなかでも主導的な立場にいる。われわれは,日々の臨床で重い不安に苦しむ方を援助する日本の専門家の方々が,この新しいプログラムを利用できるようになったことを嬉しく思っている。
 
 デイビッドH.バーロウ,PhD,ABPP
心理学ならびに精神医学教授ボストン大学不安関連障害センター設立者・名誉所長
 
参考文献

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訳者あとがき

 本書はデイビッドH.バーロウらによる“Unified Protocol for Transdiagnostic Treatment of Emotional Disorders:Therapist Guide”の邦訳である。この題名には,本書を理解する鍵となる三つの言葉が含まれている。
 第一の言葉は“統一unified”である。統一プロトコルは,不安障害や気分障害に対する数多の認知行動療法の個別プロトコルを,文字通りひとつに統一したものである。この治療は,ともすれば,様々な認知行動的介入の技法やエッセンスを寄せ集めた“いいとこ取り”の治療にみえるかもしれない。実際,各モジュールの中身をみると,新旧の認知行動的介入が勢揃いしていることに気づくだろう。しかし,これらは無造作に集められたものではなく,各モジュールが注意深く系統的に順序づけられ構造化されている。それは,本治療を貫く「感情」に注目する理論的基盤に支えられている。
 第二の言葉は“診断を越えたtransdiagnostic”である。本書の第2章にあるように,このアプローチは疫学研究,病因論,感情科学等の研究で見出された学術知見に基づいている。すなわち,DSM-IV診断では不安障害や気分障害の間でかなりの合併が観察されること,その背景として各障害に共通する病因が想定できること,その最も有力な機序として感情調整過程の不全が想定されること,という知見を背景としている。根底にある共通の病因が解消されれば,異なって現れる様々な障害の治療が可能となる,というのがその基本的考えである。こうした診断を越えたアプローチにより,併存疾患や合併症状を有する患者や,診断上では閾値下にあたる患者に対しても効果的に介入できると考えられている。ただし,「診断を越えた」アプローチは,診断や査定が不要であり,誰にでも適用可能であるという意味では決してない。治療においては,詳細な機能アセスメントが前提にされている点にも注意されたい。
 第三の言葉は“感情emotion”である。感情調整は各モジュールを組み合わせ,それらをプロトコルとして統一する基軸にあり,また,診断を越えた病因が想定される過程でもある。「認知行動」療法であるのに,「感情」に焦点が当たるのは不思議に思えるかもしれない。しかし,不安障害やうつ病性障害の患者にとって最も避けたいもののひとつは強く不快な感情であり,臨床現場において,援助者はそうした苦痛な感情への対処を認知や行動の観点から支えているのが実際だろう。Aaron T.Beckが著した認知療法についての処女作がそうであったように,本書が対象としているのも感情障害emotional disordersである。
 まとめると,本書はこれまでの認知行動療法の数々のプロトコルをひとつに統一し,不安障害やうつ病性障害等に対して診断を越えて治療することを意図したものであり,その介入法は感情についての理論に基づいているといえる。
 この治療の開発者であるデイビッドH.バーロウ博士について紹介しておく。バーロウ博士は感情障害や臨床心理学方法論に関する研究に取り組み,これまでに500編以上の論文,60冊以上の書籍や臨床マニュアルを発表している。彼が2000年に米国心理学会(APA)臨床心理学部会の会長を務めた際には,エビデンスの認められる心理療法を同定する作業部会を立ち上げ,その議長として臨床心理学に厳格な科学性を導入した。APA臨床心理学会のScience Dissemination AwardやDistinguished Scientific Contribution Awardなど,その功績により数々の賞を受賞している。また,Behavior TherapyやJournal of Applied Behavior Analysis,Clinical Psychology:Science and Practice,オックスフォード臨床心理学ハンドブック,そして本書のシリーズであるTreatments That WorkTMの編集に携わっている。他にも,米国精神医学会のDSM-IVの作成においては不安障害作業部会の副議長を務めるなど,精神医学や臨床心理学において様々な重要な役割を果たしている。こうした彼の経歴からも,統一プロトコルが臨床心理学や精神医学,そして認知行動療法の伝統と歴史を踏まえたものであることが想像できるだろう。
 「統一」プロトコルや「診断を越えた」アプローチに対して,それほど目新しいとは映らない人もいるかもしれない。というのも,心理療法全体の歴史からみれば,心理療法統合の流れや運動はすでに1980年代に起こっており,それ以来,「統一」や「統合」については広く議論されてきているからである。また,行動療法や認知療法は,そもそも学習理論や認知理論から有効な介入を模索していたものであり,必ずしも特定の診断にとらわれていたわけではなかった。たとえば,60年代における系統的脱感作と曝露療法を用いた行動療法は,心臓発作,クモ,汚染に対する恐怖をそれぞれ区別せずに適用していた。そのようななかで,80年代後半から個別の疾患に限定した認知行動療法の有効性についての研究が報告されるようになった。そして,そうした疾患特異的プロトコルのエビデンスの蓄積により,現在の認知行動療法の地位が確立されていった。じつは,バーロウ博士はそうした「診断を限定した」心理療法の有効性を検討する臨床研究を最も早くから実施した研究者のひとりである。また,バーロウ博士は,米国の臨床心理士を養成する大学や大学院では広くテキストとして用いられる“Abnormal Psychology:An Integrative Approach(Wadsworth Publishing;6 edition,2011)”や,疾患別に有効性が認められる精神療法について解説する「オックスフォード臨床心理学ハンドブック」の編者も務めている。とくに後者は,米国においては座右に置く手引書として,多くの臨床家に重宝されている。このように,「診断を限定した」個別プロトコルの開発と検証,および教育と普及を通して臨床研究の発展に貢献した人物が,現在では「診断を越えた」統一プロトコルを開発し,その有効性を検証している点は興味深い。
 診断を越えたアプローチはDSM-Vがとっているディメンジョナルなアプローチと整合し,臨床家訓練の倹約化や,幅広い患者への提供可能性にその意義が認められる。また,発症や再発の予防,あるいは個別プロトコル後の残存症状への介入としての利用可能性を有する。近年では,Journal of Cognitive-Behavioral Therapyなどの学術誌において,診断を越えたアプローチに関する特集が組まれるなど,世界中の様々な研究グループがこの観点から心理的治療の検討と開発を行いつつある。ただし,診断を越えた治療的介入といっても,Fairburnが開発した摂食障害への認知行動療法もあれば,気分障害や不安障害などを広く対象とするアクセプタンス&コミットメント・セラピーなど,「診断を越える」その幅の広さや種類はいろいろである。また,認知行動療法以外の様々な精神療法は,もともと疾患や診断を限定していないものも多い。さらには,「診断を越えた」という観点は,基礎研究においても取られるアプローチである。この場合には,特定の心理的過程が様々な疾患の共通の病因や維持因になることを想定しており,たとえば,完全主義や反芻などがあげられる。このように,診断を越えたアプローチといっても様々であり,一部の診断を越えた(と標榜する)介入にはそれを支持するエビデンスがかなり弱いものもあり,玉石混淆の様相を呈している。これらのアプローチの一部あるいはすべてが発展するか否定されるかは,今後の実証研究が答えを与えてくれることだろう。
 統一プロトコルに限っていえば,本書のなかでも紹介されているように,これまでふたつのオープン試験によりプロトコルの改良が重ねられてきた。また,感情障害に対する診断を越えたアプローチの妥当性や,統一の基軸となる感情調整についての詳細な検討など,理論的な論文も発表されている。2012年には,待機群との比較を検討したランダム化比較試験がBehavior Therapyにおいて報告された。この論文では,主診断の症状のみならず,併存疾患の症状に対しても統一プロトコルの有効性が認められたと報告されている。2012年現在,ボストン大学では,認知行動療法の個別プロトコルと統一プロトコルの効果の同等性を検討するランダム化比較試験が進行中である。このように,ようやく第III相試験にたどり着いたところであり,今後のさらなる知見が期待される。
 本書,ならびに本書とセットになっている『不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 ワークブック』(診断と治療社 2012年)は,初学者から熟練の臨床家まで,それぞれの段階に応じた利用の仕方が考えられる。初学者の方にとっては,『ワークブック』そのものが認知行動療法における心理教育の手本となるだろう。というのも,『ワークブック』はこのプログラムを利用する患者やクライエントに向けて書かれており,その利用者にとってわかりやすいように,できるだけ同じ目線と立ち位置に立って,協同的な姿勢で書かれているからである。自分がこの治療を受けるつもりで『ワークブック』を読んで,身をもって認知行動療法を体験しながら学ぶのも役立つかもしれない。また,本書『セラピストガイド』に描写されている治療者と患者の会話例においては,具体的な言葉の使い方や説明の仕方を見て取ることができるだろう。
 認知行動療法の訓練を一通り受けて臨床実践に携わっている中級者以上の方であれば,このプログラムのモジュール構成から多くの示唆を得られるのではないかと想像する。一般的に,認知行動療法では継続した丁寧な事例概念化を通して系統的に介入技法を限定し,患者とともに取り組む内容が選択され,実行,検証される。この行動実験と協同作業そのものが認知行動療法のひとつの側面ではあるものの,どの技法やプロトコルをどの順序,どのタイミングで適用すればいいかについては明確なエビデンスや基準はなく,ときに治療者は頭を抱えることもあるだろう。また,現場で求められる臨床判断は患者や文脈に依存するため,ひとつの正解があるわけではない。統一プロトコルは,感情障害の共通病理に対して,認知行動療法の諸原則を最も効果的なかたちで組み立ててできた治療法である。そのため,臨床家が自らの介入戦略に迷ったときには,統一プロトコルのモジュール構成に立ち戻ると,何らかのヒントが得られるのではと期待される。
 その際,冒頭にも述べたように,本書が「感情」に注目し,これを理論的な基軸としてプロトコルを組み立てている点を改めて認識しておくことが重要である。統一プロトコルのすべてのモジュールは,感情曝露という最も重要なモジュールに向けて構成されている。動機づけを高め,感情の基本知識を身につけ,三項随伴性とマインドフルネスにより感情への気づきを培い,認知的な柔軟性を養い,回避や感情駆動行動(EDBs)とは逆の行動をとる練習をし,内部感覚曝露により身体感覚への忍耐力をつける。これらはすべて,感情曝露の効果を最大化するために周到に順序づけられ,構成されている。この目的のために,統一プロトコルでは,伝統的な認知行動的技法が従来のやり方とはやや異なったかたちで用いられている。ABC分析は“感情のARC”,マインドフルネスは「現在焦点の非断定的な気づき」,認知再構成は「認知再評価」としてその装いを変えて登場しているし,統一プロトコルでは回避のみならず“EDBs”も積極的に扱うなどの工夫が認められる。これらのモジュールの後景には,行動療法や認知療法はもとより,動機づけ面接法,弁証法的行動療法,マインドフルネス認知療法など,様々な精神療法の姿が垣間見える。それら一つひとつの源流をたどって,原版との相違点を検討することで,臨床的な智慧や工夫を見出せるかもしれない。
 熟練のセラピストの方は,おそらくすでに自分なりの「統一プロトコル」をお持ちなのではないだろうか。それは本書のプロトコルよりも柔軟であるかもしれないし,もっと認知療法的であるかもしれない。本書のプロトコルと比較していただけると,何か臨床に役立つ発見があるかもしれない。
 ちなみに,統一プロトコルの略称は“UP”であり,「ユーピー」とよばれている。わが国においても広くこのUPが知られ,臨床家や研究者,そしてなによりこのプログラムを必要としている人から利用され,批判され,洗練され,ひとりでも多くの方の役に立つことが期待される。
 最後に,本書の翻訳の過程で支援をいただいた方々に御礼を申し上げたい。薬物療法について書かれている本書の第14章は,京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野教授の古川壽亮先生に監修していただいた。ここに記して,心より感謝の意を申し上げたい。また,本書の発行にあたって,繊細かつ多大なる思いやりと支援をいただいた診断と治療社の横手寛昭氏と柿澤美帆氏,そして本書の意義を理解し応援していただきました堀江康弘氏に心からの御礼と感謝をお伝えしたい。また,訳文は加藤典子氏,中島 俊氏,関屋裕希氏,大江悠樹氏に確認していただいた。ここに記して,その熱心なサポートに感謝の意を申し上げたい。
 2012年3月
 伊藤正哉 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター研修指導部 研修普及室長
 
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